木の工房 風

ひとこと

ワクワク感を感じさせる作品作り           ”新付加価値の創造”(2017/1/3 T.Hayashi)

藤井慎介氏(刳り技術)

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刳り技術による作品作りの魅力。

今回の作品展で見せて頂いた刳り技術による作品作りは、自分にない技術であり、手作り感と一品モノの魅力が十分に醸し出された技術であることは、先般にも述べました。
今回の作品展で私が引き付けられたのは、この一点に集約されると言っても過言ではありません。
勿論、他にもデザイン性の斬新さ、漆の魅力等についてもありますので後述したいと思います。

この技術は、勿論古くから行われている技術ですが、藤井さんのデザイン性と相まって存在感のある作品に仕立てているところが、大きな魅力です。
今までにも、テーブルの天板や椅子の座面を豆鉋で細かい筋状に仕上た作品は何度となく見てきましたが、藤井さんの場合は、刳りモノから入っているので、作品全体の中に刳りの技術が融合されていると言うところが他の方と違うところだと思います。

黒田辰秋の「朱漆十六稜蓋物」等にみられる曲線的に流れるような稜線の刳りが、藤井さんの椅子の背もたれ、壁掛け、飾り棚の棚板、厨子の上面から左側面へと流れるように施されている。
それも全面ではなく部分的に、実に自然の流れとして素直に施されているのが、また魅力を醸し出している。

縦長の栃の拭き漆の壁掛けは、栃の杢を活かし、刳りで波打つ水面を表現し、右下に小さな蓮の葉が掘り込まれている。憎らしいほどの表現力である。

長椅子の場合、座面は、よくある豆鉋による横ずりで細かい波状に仕上られているが、面白いのはその脚である。刳り物で作られたドンとした二つの木塊から出た細い各二本の支柱で座板を保持している。
脚の木塊の上にそのまま座板を載せると座板とのバランスが悪く不恰好に成り易いが、細い支柱で座板を浮かせることで、見事に全体のバランスが取れている。どっしりとした大地から出た若い木が天に向かって薄めの座板を保持しているといった感じで、生命力のようなものさえ感じさせてくれる。


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